二億ゴールドへの道は、どうやらランプから始まるらしい

リアル社畜、マイタウンを買う。

人間というものは、誠に不思議なものである。

大きな夢を抱く。

立派な目標を掲げる。

そして、そのために毎日を懸命に生きようとする。

ところが現実というものは、なかなかこちらの都合を聞いてくれない。

朝になれば仕事へ行かねばならず、
仕事が終われば疲れている。

家に帰れば、やることがある。

時計を見ると、もう眠る時間である。

それでも私は、ドラクエ10を起動する。

なぜなら私は、

二億ゴールドを貯めようとしているからである。

たいへん愚かな計画である。

しかし、こういう愚かな計画ほど、 人間の心を妙に明るくすることがある。

私はマイタウンが欲しい。

自分だけの町を持ちたい。

家を建てて、庭を飾って、 好きなものを置いて、 そこに立ってみたい。

ただそれだけのために、 二億ゴールドを貯めようとしている。

現在の所持金は、まだ二億には遠い。

そして今回、 10月5日から10月7日までの三日間、 私は実際に金策をしてみることにした。

三日間の開始時。

6,379,115G。

これが今回の出発点である。

ここから、 仕事が終わったあとにランプを回した。

眠い日もあった。

仕事が終わらない日もあった。

それでも、できる日に少しずつ金策をした。

そして三日間が終わったとき、 私の所持金は、

6,904,253G。

増えた金額は、

+525,138G。

二億ゴールドという目標からすれば、 実に小さい。

小さいどころか、 数字の海に落としたら見つからないくらい小さい。

しかし、

6,379,115Gは、6,904,253Gになった。

この事実だけは、 誰にも否定できない。

今回は、 そんな三日間の話である。

第一夜。眠気という名の強敵

10月5日。

仕事から帰宅した。

その日の私は、 たいへん疲れていた。

人間というものは、 疲れると眠くなる。

当たり前のことである。

眠ければ寝ればいい。

実に簡単な話である。

ところが私は、 ドラクエ10を起動した。

二億ゴールドを貯めるためである。

我ながら、 少々どうかしている。

この日の開始時の所持金は、

6,379,115G。

私は原始獣装備を購入した。

そしてランプを回す。

ランプを回して、 錬金をする。

そしてバザーへ出す。

実際にやっていることだけを書けば、 これだけである。

二億ゴールドという、 あまりにも大きな目標を掲げているわりに、 やっていることは実に地味である。

しかし私は、 こういう地味な作業が嫌いではない。

一つ買う。

一つ錬金する。

一つ出品する。

そして、また一つ買う。

そうしていると、 いつの間にか時間が過ぎていく。

この日は45分。

原始獣装備は16個。

金策を終えたときの所持金は、

6,595,122G。

つまり、

+216,007G。

二十一万六千七ゴールド増えた。

これは嬉しい。

もちろん、 二億ゴールドを目指している人間からすれば、 大騒ぎするほどの金額ではない。

しかし、 一日働いて、 家へ帰って、 疲れた身体でランプを回して、 それで二十一万ゴールド増えた。

そう考えると、 これはなかなか立派なことである。

私はそう思うことにした。

人間は、 自分で自分を褒めるくらいでちょうどいい。

そのうち眠気が限界までやってきた。

画面を見ているのか、 夢を見ているのか、 よく分からなくなってきた。

そこで私はログアウトした。

二億ゴールドより先に、 眠気に敗北したのである。

しかし、 それでいいのだと思う。

明日も仕事がある。

明日も生きなければならない。

金策は、 明日でもできる。

第二夜。人間は仕事に敗れる

10月6日。

この日は、 少し事情が違った。

残業である。

仕事が終わらない。

時計を見る。

時間が過ぎる。

もう一度時計を見る。

まだ終わらない。

そして帰宅したのは、

23時。

23時である。

一日の終わりと言っていい。

人によっては、 もう夢の中にいる時間である。

私はドラクエ10を起動することもできた。

原始獣装備を買うこともできた。

ランプを回すこともできた。

しかし、

私はやめた。

この日の金策時間は、

0分。

原始獣装備も、

0個。

ゴールドの増加も、

0G。

開始時の所持金は、

6,595,122G。

終了時も、

6,595,122G。

何も変わらない。

数字だけ見れば、 完全な停滞である。

しかし、 本当にそうだろうか。

私は布団に入ってから、 そんなことを考えた。

二億ゴールドを貯める。

そのためには、 毎日金策をしなければならない。

そう思っていた。

けれど、 仕事がある。

生活がある。

眠らなければ、 明日がつらい。

そして、 明日がつらくなれば、 また金策どころではなくなる。

だから今日は、 何もしない。

それでいいのだろう。

二億ゴールドを貯めるために、 今日を壊してしまっては、 少しおかしな話である。

私はそう思って、 眠った。

ゴールドは一枚も増えなかった。

けれど、 明日のための時間は残った。

第三夜。三十万ゴールドの奇跡

10月7日。

三日目である。

この日は、 一時間ほど金策をすることができた。

開始時の所持金は、

6,595,122G。

昨日は何もできなかった。

だからこそ、 今日は少しやりたかった。

原始獣装備を購入する。

ランプを回す。

バザーへ出す。

そして、 数字を見る。

やることは、 それだけである。

この日は、 素材を安く仕入れることができた。

金策というものは、 どうやらこういう小さなところで差が出るらしい。

大きな奇跡が起きるわけではない。

突然、 空から一億ゴールドが降ってくるわけでもない。

少し安く買う。

少し多く残す。

その繰り返しである。

人間の人生も、 もしかすると似たようなものなのかもしれない。

大きな幸運が毎日やってくるわけではない。

ほんの少しうまくいった日があって、

何もできない日があって、

また次の日に少し前へ進む。

そういう日々を、 後から振り返ると、

「ああ、ちゃんと進んでいたのだな」

と思うのかもしれない。

この日は原始獣装備を16個。

そして、 一時間後。

所持金は、

6,904,253G。

増えた金額は、

+309,131G。

三十万ゴールドを超えた。

私は少し嬉しくなった。

昨日は0Gだった。

今日は309,131Gである。

昨日と今日だけを比べれば、 なんだか大成功したような気がする。

人間というものは、 実に単純である。

しかし、 その単純さも悪くない。

嬉しいものは嬉しい。

三十万ゴールド増えた。

それだけのことで、 少しだけ明日が楽しみになる。

三日間の戦果

こうして三日間が終わった。

壮大な戦いだった。

……と言いたいところだが、 実際に戦った相手は、 仕事と眠気とバザーの相場である。

三日間の結果をまとめると、 こうなる。

日付 金策時間 開始時 終了時 増減 原始獣装備
10/5 45分 6,379,115G 6,595,122G +216,007G 16個
10/6 0分 6,595,122G 6,595,122G 0G 0個
10/7 1時間 6,595,122G 6,904,253G +309,131G 16個

三日間の金策時間は、

1時間45分。

原始獣装備は、

32個。

そして、 三日間で増えたゴールドは、

+525,138G。

6,379,115Gから始めて、

6,904,253Gで終わった。

数字だけを見れば、 たった525,138Gである。

二億ゴールドまで、 まだ193,095,747Gもある。

そう考えると、 笑ってしまうほど遠い。

けれど、

三日前の私は、6,379,115Gだった。

そして今は、

6,904,253Gある。

たったそれだけ。

されど、それだけ。

私はこの「それだけ」を、 案外大切にしたいと思っている。

二億ゴールドという、途方もない話

二億ゴールド。

改めて考えると、 すごい数字である。

現在、

6,904,253G。

目標、

200,000,000G。

残り、

193,095,747G。

まだ遠い。

遠すぎる。

地図を広げたところで、 目的地が見えないくらい遠い。

しかし、

私はもう歩き始めてしまった。

最初から二億ゴールドを持っている人間には、 この話は必要ない。

私は持っていない。

だから、 少しずつ増やすしかない。

まずは700万ゴールド。

あと、

95,747G。

これなら、 なんとかなる気がする。

700万になったら、 次は800万。

800万になったら、 1000万。

1000万になったら、 その先を考える。

そうやって、 一つずつ数字を越えていく。

二億という数字を、 一気に見るから遠いのである。

一日分にすれば、 もっと小さい。

一回の金策にすれば、 もっと小さい。

原始獣装備を一つ買うところまで小さくすれば、

もう目の前である。

だから私は、 今日もランプを回す。

できない日があっても、いいらしい

今回の三日間で、 一番印象に残ったのは、

実は10月6日だった。

金策をしていない。

ゴールドも増えていない。

数字だけを見れば、 何の成果もない一日である。

けれど、 その日は仕事をしていた。

23時まで働いて、 家へ帰った。

そして、 疲れて眠った。

それだけである。

けれど、 それでいいのだと思う。

仕事がある。

生活がある。

大切にしたいものがある。

その全部を投げ出して、 二億ゴールドだけを追いかける必要はない。

むしろ、 そういう日々の中で、 ほんの少しだけ時間を見つけて、 ランプを回す。

そのほうが、 この企画には似合っている気がする。

毎日何時間もゲームができるわけではない。

何日も金策できないこともある。

それでも、 できる日に少しずつやる。

そして、 いつか振り返ったとき、

「ああ、あの日も少し進んでいたな」

と思えれば、 それでいいのだと思う。

六百万ゴールドから、六百九十万ゴールドへ

三日間の金策を終えて、 私の所持金は、

6,904,253G。

三日間の始まりは、

6,379,115G。

その差は、

+525,138G。

わずか三日間。

金策をした時間は、 合計1時間45分。

その間に、 原始獣装備を32個。

そして、 525,138G増えた。

二億ゴールドという目標からすれば、 まだ入口に立ったばかりである。

けれど、 入口には立った。

それだけは確かである。

思えば、 最初は600万ゴールドしかなかった。

そこから始めた。

何も分からないことも多い。

仕事もある。

疲れる日もある。

金策できない日もある。

それでも、 少しずつ増えていく。

600万が、 690万になった。

次は700万である。

あと95,747G。

たった95,747G。

そう考えると、 少しだけ近く感じる。

そして700万になったら、 また次を目指す。

そうやって、 一つずつ。

一日ずつ。

できる日に少しずつ。

いつか、 本当に二億ゴールドへ届くのかもしれない。

届かないのかもしれない。

まだ分からない。

けれど、

分からないからこそ、 やってみたい。

三日間を終えた今、 私はそんなことを思っている。

リアル社畜、マイタウンを買う。

三日間の開始:6,379,115G

現在:6,904,253G

三日間の増加:+525,138G

目標:200,000,000G

残り:193,095,747G

二億ゴールドという、 遠い遠い数字を見ながら、 今日も私はランプを回す。

たぶん、 これからも何度も眠くなる。

仕事が長引く日もある。

金策できない日もある。

思ったほど増えない日もあるだろう。

それでも、

できる日に少しずつやる。

そうして、 いつか振り返ったとき、

「あの日、始めてよかったな」

と思えたら、 それで十分なのかもしれない。

二億ゴールドは、 まだ遠い。

けれど、 今日は昨日より525,138G近い。

それだけで、 今日は少し良い日だった。

夢みたいなことを、
現実でやってみる。

――夢幻浪漫。

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